アメリカの「怒り」に対する考えが日本と違う
アメリカに住んでいて、「怒り」に対する考えがアメリカと日本では大きく違うことに気が付きます。
She’s(he’s) having a bad day.
ある日、仕事で、イライラして、プリプリと怒っているお客さんがいました。私は、嫌な客だな~と思っていたら、隣にいた私の同僚は、そのお客さんが帰った後で、とても冷静に「She’s usually not like that. Maybe, she was having a bad day.」とこのお客さんの悪態を許すかの口調で言いました。このように、プリプリと怒っている人に対して、このフレーズが使われることがよくあります。
She’s(he’s) having a bad day. には深い意味があります。
人生は、一日ずつ過ごしていくわけで、良い日もあり、悪い日もあるのは当たり前です。なので、イライラしている人を見たら、「きっとあの人の一日は、スムーズに行っていないのだろう」、「きっと何か嫌な事があって機嫌が悪いんだろう」、「自分にもそんなことはある」とアメリカ人は考えるのです。とても寛容な考え方です。
また、自分にもこの言い方を使うこともあります。I was having a bad day. と「あの日は、色々あってイライラしていたんだ」と、つい怒鳴ってしまったなど、自分の悪態を弁解する時にも使われます。また、それを後悔している意味も含まれます。
Things happen.
物事がスムーズに行かない時もあります。予定通り、物事が運ばれなかったときは、イライラしてしまいますが、怒っても仕方がありません。ですから、アメリカでは、「Things happen.」と言って、予期しない事が起きてしまうのが人生だ、怒っても仕方がないとその状況を受け入れるのです。
この考えがあるからこそ、クレームを言っても仕方がないと考える人が多い。それに、クレームを言ったり、怒ってしまう人は、理解がない難しい人だと思われてしまいます。
People make mistakes.
完璧な人はいません。誰でも間違えは起こします。つまり、People make mistakes. このフレーズは、そういった意味を持ちます。
ですから、誰かが間違えを起こした時に、「何でそんなことをしたんだ」と叱らない、怒らない。
そして、I made a mistake. と、何か間違ってやってしまった時に言います。I made a mistake. という言い方は、自分が間違えを起こしたと認めているという意味も含まれているます。I made a mistake. I’m sorry. と誰かが言ったら、それで十分であり、その人をミスを許してあげるしかありません。それでも、ネチネチと文句を言うというのは、アメリカ人はやりません。
It was an accident.
この言い方も何かが起きてしまった時に使われます。この言い方は、故意的にやったことではないという意味です。テーブルの上のコップに入った水をこぼしてしまうという些細なミスから、駐車場で駐車している車にぶつけてしまったというミスまで色々ありますが、誰でも間違ってやってしまうことがあります。だから、アメリカでは、人のミスを許すのが当たり前と考えられています。ミスをした人を怒鳴ったり怒ったりするのは間違った行動と思われます。そんなことしたら、その人に問題があるかと思われます。精神的に変だと思われます。
怒りっぽい人は、セラピーに通うべきだと思われる
アメリカでは、「怒る」は悪いと思われています。怒りっぽい人は、怒りがエスカレートして、暴言や暴力により人を傷つけることもあります。そこまでやらなくても、家族など愛する人が嫌な思いをするので、専門家に診てもらったほうが良いと思われています。
文句を言うのは嫌われる
間違えてやってしまったことに対して、また、誰のせいでもなく予期せずに起きてしまった事に対して、文句を言う必要はありません。クレームを言って要求を叶えてもらうという方法は、あまりアメリカでは通用しません。
ガミガミと文句を言われてしまったら、聞いている方は、嫌な気持ちになります。怒ってしまい、助けてあげようという気持ちにならない。でも、冷静にそれもフレンドリーな口調で言われれば、どうにかしてあげようと思ってくれます。
You catch more flies with honey than you do with vinegarという言い方は、優しくしていた方が沢山の友達が出来るという意味ですが、どんな人間関係にも使えるフレーズです。優しくして自分の見方にした方が得です。つまり、カスタマーサービスでも、お店の人に優しくした方が、自分の要求が叶う確率が高いということです。でも、お店の人やカスタマーサービスの人が親切でない場合は、それに対して腹を立てて文句を言うのではなく、別の人を探すのが一番です。電話上のことだったら、電話をかけ直して別の人と話す。直接話しているのなら、出直すか、別の人と話させて欲しいと言っえばいい。アメリカでは、I’m sorry but can I speak with someone else? と言っても失礼になりません。とにかく、怒らずに、冷静なままいるのが大切。怒りで物事を要求する必要がないのです。
Share this content:
アメリカに住んでいますが、私は逆だなと思います。感情をむき出しにしても大丈夫。日本人は我慢が美徳だけど、アメリカ人は絶対我慢しないから、思ったことをすぐにぶつけてくる気がします。なので、あちこちで何かについて怒ってる人をよく見かけますよ。感情のコントロールがきかない人が多いと思います。人種差別を受けた人が怒りで叫んでいますが、アジア人が差別を受けても怒って何かをする人は少ないように思います。
コメントありがとうございます。
いただいたコメントの意味をしばらく考えました。
この記事で私が伝えたかったことは、怒っている人がいた場合の周囲の人の対応の仕方とよく使われるフレーズです。
「感情をむき出しにしても大丈夫。日本人は我慢が美徳だけど、アメリカ人は絶対我慢しないから、思ったことをすぐにぶつけてくる気がします。なので、あちこちで何かについて怒ってる人をよく見かけますよ。感情のコントロールがきかない人が多いと思います。」
アメリカにも「It’s better to say nothing」という言葉があり、これは普段の生活でよく使われる言葉です。
アメリカで、毎日、そんなに頻繁に怒っている人を見かけるのですか?
「人種差別を受けた人が怒りで叫んでいますが、アジア人が差別を受けても怒って何かをする人は少ないように思います。」
この記事の中で私が言う怒りとは、サービス業などで何か気に入らないことがり、その不満を怒りとして出す人の事です。
レストランで、オーダーした食べ物が30分しても来なくて怒ることと、人種差別を受けて怒る、この2つは全く比較になりません。
今年、アメリカのあちこちで起きているBLMのプロテストに参加している人達のことを言っているのかと思いますが、黒人に対する人種差別は150年以上続いていることです。黒人隔離が全米で廃止されてから50年経った現在でも、黒人は差別を受けています。黒人は運転中に警察に止められることが多い、職業でも黒人は差別を受けている、黒人差別が酷い地域(特に小さな田舎町など)があり、こういった地域は恐ろしくて黒人は入れないなど。そして、白人警察に何人もの黒人が殺されています。殺された人たちは誰かの子供であって、兄弟であり、親であり友達です。次は自分かもしれないという恐怖を抱いて生活しています。
それでも、この人たちは、日本の我慢は美徳だという考えのように、黙って何もしないべきなのでしょうか。黙って何もせず、続々と起きる人種差別で人が殺されていくのを、黙って見ているだけ、それが美徳なのでしょうか。それが美徳なわけありません。