アメリカの卵の種類いろいろ、何が違う?

アメリカのスーパーで卵を買うのは簡単ではありません。なにせ、種類が多すぎるから何を買ったら良いか迷ってしまうからです。Cage free eggsとか、Pastured eggsとかFree rangeとかorganicだとか一体どういうこと?

ここで、それらの違いを紹介します。

1.バタリーケージの鶏 (Battery caged hens)

バタリーケージとは、鶏を押し込む狭い鳥かごのことです。この中に、ぎゅうぎゅう詰めに押し込まれて飼われています。与えられるスペースは、なんと一羽につき普通サイズのコピー用紙よりも小さいのです。そのため、羽根を広げられない。農企業の中で、これほど動ける範囲を徹底的に制限された動物は他にいと言われています。数年前に、この残酷な様子が隠しカメラで撮られ、ネットで公開されバタリーケージの鶏の実態が話題になり避難されました。

この鶏たちは、太陽の光一つを見せてもらえないし羽も広げられない。卵を温めるだけ。パーチング(地面より高い場所に両足で立ってじっと止まる)や、砂やほこりの上で身体をこすったり羽をパタパタと広げるなど本能的な行動は一切とれない。毎日、卵の生産を2年休み無くさせられ、最後には屠殺所で殺される。なんて酷い話でしょう。

カゴの中で死んでしまう鶏もいます。でも死んだ鶏はすぐにカゴの中から取り出されるわけではありません。飼育者が気かつかなければ、死んだ鶏は同じカゴの中にいる鶏たちに踏まれカゴの底に横になってるいるだけ。残酷な上、不衛生な環境で飼育されたバタリーケージの鶏が産んだ卵は、ケージフリーの卵に比べてサルモネア菌に感染してる確率も高いのです。

沢山の科学者や専門科たちが口を揃えて、このバタリーケージは鶏の育つ環境条件に大きな問題を及ぼしてると言います。この中の一人の科学者は、ノーベル賞も取った事があるコンラッド ローレンズ博士。彼はこう言いました。「バタリーケージに入れられた鶏の、なによりも残酷なのは、就巣性の為に腰を下ろせないこと。動物の本能行動を理解してるだけあって、私は、鶏が何度も何度も隣の鶏の腹の下に潜って卵を探す姿を目撃すると心が痛みます。」

バタリーケージの鶏が産んだ卵

アメリカで生産される卵の90パーセントがこのバタリーケージの卵。一番安い卵です。卵の大きさ(small, medium, large, extra large)によって値段は多少違うものの$2くらいで買えます。

バタリーケージの鶏かどうかの見分け方

スーパーで販売されている卵がバタリーケージの卵かどうか見分けるのは簡単。バタリーケージとは卵の箱に記載されていませんが、Cage Free eggs、pastured eggs, 又は pasteurized eggsとパッケージに書かれていなければ、その卵はおそらくバタリーケージということでしょう。例えば、下の写真の卵のように。

2.ケージフリーの鶏 (cage free hens)

ケージフリー、つまり“カゴなし”です。foodandwaterwatch.orgの説明によると、ケージフリーの鶏は、籠には入れられていないというだけで、どんなコンディションで飼われているかはわからないらしい。例えば、籠には入れられていないけれど、鶏小屋に入れられている。籠よりは小屋の方が広いけれど、その中は鶏がびっしりと入れられている。小屋の中の状態がどうかは別として、ケージフリーの鶏は、外には出してもらえない。つまり、太陽の光を浴びることは出来ない。つまり、籠に押し込められた状態で飼われているバタリーケージからアップグレードしたのがケージフリー。

 

3.フリーレンジ

フリーレンジの鶏は、小屋の外に出れる。でも、一日中外で放し飼いされている鶏ではありません。
フリーレンジの鶏の卵として販売するには、鶏を一定以上の時間、外に出さなければいけないといった規則がないのです。ですから、外に出れるのはたったの30分かもしれないし、1時間かもしれない。

つまり、今までお話した3つのタイプ(バタリーケージ、ケージフリー、フリーレンジ)の中で唯一外に出て太陽の日を浴びられる鶏です。

そして、フリーレンズの鶏は、餌にも規則がありません。

どんな食べ物でどれくらいの量を食べされなければいけないといった規則もありません。つまり遺伝子組み換え作物を与えられてるかもしれません。その確率は大きい。なにせ、遺伝子組み換え作物でないとなるとオーガニックの餌になります。そうなるとオーガニックの卵になるからです。

4.放し飼いの鶏の卵(Pasture Raised)

放し飼いの鶏とは、広い牧場の中を自由に歩き回って草を食べたりできる動物のことです。このタイプの飼育の仕方は、小さなスケールのビジネスが一般。例えば、家族経営で鶏の卵を販売している牧場とか。

これは、今まで挙げた養鶏所のタイプの中で、鶏にとって一番良い環境です。値段もこれらの種類の中で一番高い。

一般的に、放し飼いの鶏は、日中は外で放し飼いされ、夜は安全の為、家の中に入れられます。
しかし、Pastured raiseとは呼べるには、何時間外に放し飼いにさせなければいけない、また、餌として何を与えなければいけないといった規則はありません。つまり、放し飼いだし、外で自由に草などを餌にして食べれると言っても、外を自由に歩き回れる時間はたったの1時間だけかもしれない。また、どんな餌を与えられているのかわかりません。

つまり、飼われてる環境からのストレスは無いかもしれないが、餌がオーガニックではないということです。餌がオーガニックでなければ、その鶏の卵はオーガニックとは言えません。オーガニックの卵を求めている人は、オーガニックと書いてある卵を選びましょう。

例えば、下の卵。Pasture raisedの卵です。Vital Farmの卵で、ここの鶏の卵はとても美味しい。黄身がオレンジ色している。

5.オーガニックと認定された卵 Certified Organic

オーガニックの卵を産む鶏達は、鶏小屋の中で放し飼いにされています。そして、オーガニックと認定されるために、外に出る事を義務つけられてます。しかし、外に出る時間の長さは決められてません。ここまでは、フリーレンジの鶏とPastured raiseの鶏と同じですが、オーガニックの卵として販売するには、食べる餌がオーガニックでなければなりません。つまり、抗生物質や人工ホルモンやを使用していない。有毒な除草薬や遺伝子組み換え作物を餌に使ってないのが条件です。

例えば、下の卵。フリーレンジでオーガニック。大きいサイズの茶色い卵と書かれています。Organic Valleyブランドはオーガニックの乳製品も販売しています。オーガニックの卵の値段は1ダースが6ドルくらい。

低温殺菌された卵 (Pasteurized eggs)

これは低温殺菌された卵のこと。アメリカでは、生卵はサルモネラ菌に感染するリスクがあると思われていているため、生卵を食べるのは一般的ではありませんが、生卵が全く食べられないというわけではありません。

低温殺菌された卵は、レストランが使う卵としては一般的なようです。下で紹介する低温殺菌卵のウェブサイトを見ると、レストランに卸すことを主にしています。その理由は、マヨネーズやティラミス、シーザーサラダドレッシングやアイスクリームを作るのに生卵が必要であるし、レストランには卵の黄身が生のままの目玉焼きをオーダーするお客さんもいます。食中毒の心配をしないで安心して生卵を使用できるために、低温殺菌卵を選ぶのだと思います。

現在、一般のスーパーで買える低温殺菌された卵は、写真下のDavidson’s Safest Choice® pasteurized shell eggs($4弱)だけのようです。

アメリカでご飯に生卵をかけて食べたいのなら、この卵ならサルモネラ菌の心配が要りません。低温殺菌されているからか白身が白っぽい半透明です。

 

記事掲載日 2/11/2015
記事更新日 2/28/2019

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