ミネソタで起きた、白人警察官によって黒人が殺害された事件。起きてはいけないことがまた起きた。
今年の2月に、ジョギング中の黒人の若者が白人の親子に殺された事件があったばかりだったのに。またか。

アメリカには色々な人種がいて、色々な肌の色の人が住むからこそ「全ての人間が平等である」と主張されることが多い。
そして、差別に対して敏感で、差別フリーの社会であるように努力していても、実際には差別はいつでも存在している。

私自身、身近で黒人に対する差別的なことを、黒人の友達や知り合いから、聞いている。

学生の頃、私のルームメートだった19歳のシンシアという名の女の子がアパートのすぐそばで警察に止められた時の事ことを覚えている。ある晴れた日の午後、アパートを出てすぐの曲がり角で止められ、「たった今、アパートを出たばかりで、今からシートベルトをしようと思っていたところだ」と警察に弁解したけれど、その白人の警察官は何の余地もなく罰金のチケットを渡した。アパートに帰ってから私に話してくれた。シンシアは、「自分が黒人じゃなかったら見逃してくれたと思う。」と私に言った。黒人だから?それって本当?と、信じられなかった。私にとってとても衝撃的な出来事だった。

その時、大学の寮のカフェテリアで、黒人が片側に、白人がその反対側に集まって座って食べている風景を思い出した。その風景があんまりも私の目に異様に映ったので、当時の白人のルームメートになんで?と聞いたら、「その方が心地よいんじゃないかな。日本人だって固まって座っているじゃない。それと同じよ。」という返答だった。

それから数年後、友達が、夫婦で休みを利用して海に行ってたんだとその旅行の話をしてくれた。
その話の中で、旅行先で、すれ違う人が俺を変な目で見るとか、避けるように歩いてたと言ったので、私は、「それは、あなたが怖そうだからよ!」と冗談のつもりでクスクスと笑いながら言うと、はは、そうかな!とでも返事があるかと思えば、何の返事もない。聞こえなかったのかと思い、もう一度繰り返し言ってみた。でも、2回目も友達(フレッド)は何も言わなかった。その時、こういうことは言ってはいけないんだ、冗談にならないんだと知った。フレッドは、若い時にはダラスカウボーイズに選手入りしたこともあり、その筋肉質のがっちりした体形は50歳を過ぎても変わらない。黒人であるだけでなく、身体が大きいと尚更目立し、怖そうだなと思われてしまうのだろう。

もっと最近では、10年以上前から知っている黒人の男性(マイク)に久々に仕事場で会った時、マイクがなぜかマイノリティーとして自分が世間にどれだけ差別されているかという話を始めた。元気だった?という軽い会話からどうしてこんな深刻な話になったのか覚えていないが、差別を感じるのは日常茶飯事だと怒りを込めて言っていた。

アメリカでは、人種差別はとても繊細なトピックである

アメリカでは、人種差別はとても繊細なトピックである。間違ったことを言ってしまったり、誤解を招くことを言ってしまわないためにも、一般的に、人種差別に関する話はしない人が多い。人種差別に関することを何か言う前に、よく考え、気を付けて発言するべきです。

新型コロナウィルス感染がアメリカでも拡大するようになってから、新型コロナウィルス中国から発祥したと言われているため、中国人に対する嫌がらせや暴力がアメリカのカリフォルニアやニューヨークに相次いでいました。ついにテキサスでもこういった事件が起きた時、私は、友達のナディアに外出するのが怖くなってきたと携帯のメッセージで話した。中国人と間違われて突然攻撃されるかもしれないと思ったからです。ナディアは私の親しい友達で黒人女性である。新型コロナ感染が拡大する前は、週に2,3回一緒にヨガをやっていたのが、コロナで出来なくなったため、毎週携帯のメッセージでお互いをチェックしあっている。
でも、この差別の話をした時は、なぜか返事がなかった。なんでだろうと私は考えてみた。実際の事はわからないけれど、差別に関する話はとても繊細な話題なため、返す言葉が探せなかったのかなと解釈した。差別に関しては黒人であるナディアは、十分に分かっているからこそ、下手に何か言わない方が良いと思ったのかもしれない。

殺害されたジョージ・フロイドのことも私たちの話の会話には出てこない。私の方から「黒人が白人に殺害されたね」とか「あの事件のことをどう思う?」なんて簡単に聞かないし、彼女の方も何も言わない。

人の肌の色や見た目を馬鹿にするようなことは言わない

日本では、テレビで違う国出身の人や、肌の色が違う人に対してバカにするような事を言って視聴者を笑わそうとしますが、そういった事はアメリカではあり得ないことです。しかし、アメリカでは、自分と同じ人種の人に対してバカにするような発言をしても大丈夫なのです。その例として、アメリカのコメディアン。彼らの多くが自分の人種に対する冗談を言ってお客さんを笑わせます。例えば、黒人のコメディアンが黒人を馬鹿にして笑ってみたり、韓国人のコメディアンが韓国人を笑ってみたりします。でも、他の人種に対して同じようにバカにする発言をしたら問題になってしまいます。

黒人に対してだけでなく、アメリカはとにかく差別に敏感ですから、発言に気を付けましょう。

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