違う人種や文化を笑わない、アメリカの暗黙のルール

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色々な人種や文化の人がいる国だからこそ、アメリカはそういった「違い」に敏感です。自分の人種や文化を笑うのはOKでも、自分と違う人種や文化を笑うのはやらない。それが絶対のルールです。

今朝、仕事に行く途中の車の中で聞いた話についてお話ししたいと思います。

このラジオ番組の一人(ジェーソンとしましょう)が、前の日に電話で注文したテイクアウトの食べ物を受け取りにレストランに行った時の話です。

奥さんが電話でPhoのレストランで食べ物を注文し、それをジェーソンが取りに行きました。
このレストランでいいんだろうな、と不安になったけど、電話で奥さんと場所が合っているか確認したと言います。店に入ると、お店の主が一人で忙しそうにしていたそうです。

ジェーソン: I’m here to pick up my order.
店の人: What’s your phone number?
ジェーソン: (奥さんの電話番号をあげる)
店の人: I don’t have it! You order!

そう言って、店の人は去ってしまう。

そこで、ジェーソンは、変だな。でも奥さんは、この店で注文したと言ってる、と考えながら、お店の人が自分の方を向くのを待つ。そして、今度は自分の電話番号をあげてみると、またもや、I don’t have it! You order! と言って行ってしまう。

すると、近くにいた客が、「その電話番号の食べ物ならここにあるわよ。」と言う。どうやら、ジェーソンの食べ物が間違ってこのお客さんに渡されていたようだ。(レシートに電話番号が書いてあってそれが袋に貼ってあった。)それで、ジェーソンは、ああよかったと思い、そのお客さんから袋に入った食べ物を受け取ります。すると、それに気が付いたお店の人がジェーソンにこう言ったのでした。

お店の人: You paid!
ジェーソン: I paid?
お店の人 :You paid!

ジェーソンが、こう言われて、奥さんが電話で支払いを済ませたのだろうと思って、店を出ようとドアの方へ向かって歩いていると、背後からお店の人の叫ぶ声が聞こえてきます。

お店の人: You stealing! You stealing!

ジェーソンがびっくりして振り返ると、キッチンから男性が二人出てきて、ジェーソンの方へ向かって来ます。ジェーソンは、びっくりして、no no. I’m not stealing. ジェーソンは、お店の人がYou paid. と言ったと思ったそうですが、実は、You pay!と言っていたということです。そこで、ジェーソンは、「わかった、わかった。払うから。You paid.って言ったのかと聞き間違えたんだよ。すみません。」と言ってクレジットカードを渡して払うと、そばにいた客がジェーソンの見方になり発言したのです。

お客さん: (お店の人に)この男性にあやまるべきじゃないですか?私も、貴方がYou paid.って言ったと思ったわよ。

ジェーソン: (このお客さんに) もういいんです。どうもありがとう。もう帰ります。

お客さん: よくないわよ。(お店の人に)謝りなさいよ。

店の人: 私は謝らないわよ!

この話を聞きながら、このラジオ番組の他の3人は、唖然としていました。
チップあげたの?と一人が聞くと、ジェーソンは、あげなかったと答えました。

この話の重要な点

この話の中のお店の人は、ベトナム人の可能性が高いだとういうことは、言わなくても視聴者はわかることです。その理由は、まず、PHOの店であるし、崩れた英語を話しているから。

明らかに、ジェーソンは、この女性の英語が上手でなかったため聞き違いをしていたわけです。でも、この女性のことを、「英語の訛りが酷くて言っていることが分からなかったんだよ」とは言いませんでした。そして、ベトナム人ともアジア人とも言わなかったのにも気が付きました。仮に、「多分あの人はベトナム人」と言ってしまったら、人種差別してるとベトナム人に非難されてしまいます。それくらいアメリカでは他の文化を話す時は気を付けなければなりません。ベトナム人かどうか、さらにアジア人がどうかはこの話の中で重要でありません。そして、アクセントが強いということも、わざわざ言わなくても明らかにそうだとわかることです。

これが日本だったら、どうだったでしょう。「変な日本語で言うから分からなかった」とか、「多分あれはベトナム人じゃないかな」なんて言うんじゃないかな、と思いました。

アメリカでは、自分と違う人種や文化の人の話をするときは特別に気を付けた方がいいです。悪気がなくて言った事でも、人種差別してるとかバカにしていると思われてしまいます。例えば、自分が日本人だから「日本人は肌が黄色い」と言っても大丈夫でも、日本人以外、例えばアメリカ人が日本人を「イエローモンキー」と呼ぶはタブー。また、黒人が二グロと他の黒人のことを呼んでも大丈夫でも、白人など他の人種が黒人を二グロと呼んだら問題になってしまいます。アメリカには、基本的に、自分と同じ”種類”の人を笑ってもいいけど、他の種類は笑ったらいけない、といった暗黙のルールがあります。気を付けましょう。

 

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